労働環境を整備しても残業が減らない理由

日本の高度成長期には、まだ週休二日制という考え方自体がなく、また残業も当たり前のように行われてきた。

それが今の日本を作り上げたと言っても過言ではないが、それは戦後の何もない特別な状況に置かれた日本でのことであり、それを常態と考えるには無理と言うものだ。その時の終身雇用制や年功序列制というものは、今の企業にはなくなってきたが、長く働くことに対する評価については、今だに多くの企業に残っている。しかし、実力主義という欧米化的な働き方が浸透してきた現状においては、勤務時間内に仕事を終えること、残業しないでも自分で計画を立てて実行し定時に退社することが評価されるべきなのだ。

また、日本企業の残業について考えるとき、週休二日制で昔よりも休む時間が増えたことが逆に残業を増やしている原因と考える人もいるが、昔よりもオートメーション化が進み、パソコンが1人に1台割り当てられるようになった現代では、それが理由とは考えづらい。

さらに、最近ではフレックスタイム勤務という制度も普及しているが、ある程度の時間の範囲内であれば自由な時間に出退勤ができる環境にもあるが、中には「上司が働いているから帰れない」「早く帰ること自体が仕事に対してやる気がないと思われそうだ」等という風潮が、残業を後押ししているとも言われている。しかし、労働時間を減らし、仕事もプライベートも充実させるためには、可能な限り勤務時間内に仕事を終えることを評価する仕組みを取り入れることが重要だ。このようなことが徹底されないと、いくら残業しても生産性は上がらないだろう。